紅葉狩りに独自のマナーがある理由
紅葉は、春のお花見と対になる秋の楽しみです。お花見が短い間にぱっと咲く花を楽しむものだとすれば、紅葉は何週間もかけて少しずつ色を変えていきます。大都市では11月に色づき始め、イチョウの輝くような黄金色ともみじの深い赤は11月下旬ごろに見頃を迎え、12月初めまで残るもみじもあります。天気予報では「紅葉前線」が、北海道から九州へと南下していく様子を追いかけます。春の桜前線とは逆向きの動きです。
紅葉を、移ろうものを慈しむ日本の美意識「もののあはれ」と結びつけて感じる人は多くいます。もみじが赤く燃えるのはほんの1〜2週間で、すぐに散ってしまいます。イチョウ並木がある朝いっせいに金色に染まったかと思えば、風の強い午後には葉の半分が散っていることもあります。紅葉狩りは、そうした移ろいに心を向けるための、昔から受け継がれてきた習わしです。奈良・平安時代の貴族が紅葉の下で宴を開き、歌を詠んだのが始まりで、江戸時代には庶民にも広がりました。
マナーが求められるのは、紅葉の名所の多くが、お寺の庭園や神社の境内、手入れの行き届いた歴史ある公園だからです。どこも決まりがあり、拝観料がかかり、受け入れられる人数にも限りがある場所です。京都の東福寺には秋のシーズン中に数十万人が訪れ、混み合う日には紅葉を眺める橋に渡るための列でかなり待つこともあります。木を守り、訪れる人が本当に紅葉を楽しめるようにしているのが、こうしたルールなのです。
ひとことで言えば:葉を取らない、三脚で小道をふさがない、拝観料を払う、ライトアップのルールを守る。
知っておくと役立つこと
- 押さえておきたい紅葉の名所 — 京都なら嵐山、東福寺、永観堂が特によく知られています。栃木の日光は、山の紅葉の定番です。愛知の香嵐渓は、もみじに彩られた渓谷で知られています。東京では六義園で夜のライトアップが行われ、新宿御苑は昼間の紅葉スポットとして人気です。神宮外苑のイチョウ並木は、11月下旬〜12月上旬ごろに黄金色のトンネルになります。
- 紅葉前線と見頃のタイミング — 紅葉前線は桜前線とは反対に、北から南へ進みます。北海道から先に色づき、東京や京都はふつう11月下旬〜12月上旬ごろが見頃です。日本気象協会などの気象会社が紅葉予想を公開していて、シーズン中に何度か更新されます。1週間早いか遅いかで、色づき始めか見頃の真っ盛りかが変わってしまうので、紅葉に合わせて旅行を計画するならチェックしておきましょう。
- イチョウ並木 — もみじの庭園がお寺で味わう紅葉なら、イチョウ並木は街で楽しむ紅葉です。いちばん有名なのは東京の神宮外苑で、黄金色の木々が続く長い並木道で、シーズン中には「いちょう祭り」が開かれてきました。歩くのは無料で、マナーも基本的なことだけです。道をふさがない、ゴミを捨てない。それから、地面に落ちたギンナンの実はかなり強烈なにおいがするので、気をつけましょう。
- 平日と週末ではまるで別物 — 京都の人気スポット(嵐山、東福寺、永観堂)は、見頃の時期にはとても混み合います。11月下旬の土曜日なら、人の波の中をのろのろ進むことになるかもしれません。ところが火曜日の朝なら、同じ庭がほとんど静かに感じられることもあります。旅程に少しでも融通がきくなら、平日の朝早くを狙いましょう。
- 早朝の特別拝観 — 有名な名所の中には、通常の開門前の早朝に、割増料金で特別に入れるところもあります。東福寺でも過去に実施されたことがあります。料金は通常より高くなりますが、写真を撮りたい人やじっくり紅葉を味わいたい人にとっては、めったにない静かな時間です。時間帯にこだわりたいなら、調べてみる価値があります。
クイズで確認
紅葉狩りのマナーが身についたか、3問で確かめてみましょう。20秒ほどで終わります。