デパートのマナー — 日本の百貨店の歩き方

開店時のお辞儀、地下のデパ地下、そして一部の店ではエレベーターガール。日本の百貨店には独特の決まりごとがたくさんあります。失礼にならず、気持ちよく買い物を楽しむためのポイントをまとめました。

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開店時のお出迎えを素通りする

開店時に並んで一礼する店員の列の前を、スマートフォンに目を落としたまま足早に通り過ぎる観光客
NG

並んでお辞儀をしている店員の前を、スマホを見ながら通り抜ける

日本のデパートでは、決まった開店時刻(10時が多い)ちょうどに、入口やエスカレーターのそばで店員が一列に並び、入ってくるお客さんにお辞儀をします。その列の前をスマホに目を落としたまま足早に通り抜けるのは、挨拶をしてくれている人を無視して通り過ぎるのと同じことです。

百貨店の入口で歩みを緩め、一礼する店員に小さくうなずいて返している観光客
OK

少し歩みをゆるめ、軽く会釈を返してから進む

深くお辞儀を返したり、何か言ったりする必要はありません。少しスピードを落として、軽く会釈するだけで十分です。かかるのはほんの2秒ですが、毎日の仕事としてお出迎えをしている店員には、ちゃんと伝わります。

デパ地下の試食に手を伸ばす

デパ地下の売り場で、他の客の前に腕を伸ばして目も合わせずに試食を取っている観光客
NG

他のお客さんの前に手を伸ばし、店員と目も合わせずに試食を取る

デパ地下の試食には、独特の静かなやり取りの流れがあります。たいていは店員が差し出し、お客さんが受け取る。この順番が大切です。人の前に身を乗り出して、店員には目もくれずにチーズケーキの3切れ目をつかむのは、はっきりとしたマナー違反です。

売り場の店員が差し出す試食を、目を合わせて小さく会釈しながら受け取っている観光客
OK

店員が差し出すのを待ち、軽く会釈して受け取る。同じ売り場で2回目はもらわない

目を合わせて、差し出されたものを受け取り、「ありがとうございます」と言うか会釈をして次へ進みましょう。試食はひとつの商品につき1回が礼儀です。同じ売り場に何度も戻ってくると、目立ってしまうことがあります。

エレベーターガールを無視する

百貨店のエレベーターを降りる際、白手袋のエレベーターガールに目もくれず通り過ぎる観光客
NG

白い手袋のエレベーターガールを、いないものとして扱う

今もエレベーターガールがいるデパートでは、白い手袋をつけた彼女たちが各階の案内をし、ドアを操作し、お客さんが降りるときにはお辞儀をします。飾りではなく、れっきとした接客の仕事です。フロア案内の声にかぶせて大声で話す、人を押しのけて前に出る、ドアを操作している彼女の前に立ちふさがる。どれも失礼に見えます。

目的の階で降りながら、白手袋のエレベーターガールに小さくうなずいている観光客
OK

自分の階で降りるときに、軽く会釈する

自分の階が案内されてドアが開いたら、降りながら軽く会釈をすれば十分です。どの階に行けばいいかわからないときは、行きたい売り場を伝えれば案内してくれます。それこそが彼女たちの仕事です。

返品を気軽に考える

返品カウンターで、明らかに着用済みで箱もない服を差し出す観光客と、対応に困る店員
NG

使った商品や開けた商品を返品カウンターに持ち込み、すんなり交換してもらえると思う

日本のデパートの返品ルールは厳しいことが多く、セール品や値引き品はなおさらです。一度着たワンピース、箱のない電化製品、開封した食品を返品しようとしても、まずうまくいきません。「日本のサービスは手厚いから、なんとかしてくれるだろう」と思っていると、とても丁寧に、でもきっぱりと断られるかもしれません。

返品カウンターに未開封の箱入り商品とレシートを並べて置いている観光客
OK

買う前に返品条件を確かめ、レシートを取っておき、未使用・購入時の包装のまま返品する

レシートは持っていきましょう。返品の期間や条件は店や売り場によって違い、未使用で購入時の包装のままの商品に限るところが多くあります。セール品は返品できないこともあるので、買う前に確認しておきましょう。

日本のデパートが「別世界」に感じられる理由

「デパート」という言葉から想像するものとは、少し違うかもしれません。日本のデパートには、多くの旅行者が驚くほどの格式と段取りがあります。一部の店ではエレベーターに白い手袋の案内係がいて、各階の案内は決まった言い回しで行われます。地下のデパ地下には、専門店の売り場がぎっしり並んでいます。そのすべてが、店員とお客さんの間の暗黙の約束の上に成り立っています。店員は手厚いサービスを提供し、お客さんもそれにふさわしく振る舞う、という約束です。

そのことがいちばんよくわかるのが、開店時のお出迎えです。開店時刻ちょうどに、店員が入口に並んで、入ってくるお客さんにお辞儀をします。これは演出ではありません。会釈もせずに通り抜けるのは、ドアを押さえてくれている人を無視して通り過ぎるようなものです。2秒の会釈で十分です。

デパ地下は、ほかの売り場とは少し違う目で見るといいでしょう。半分は市場、半分は見せる場所です。美術品のように並んだ和菓子、贈答用の季節の果物。どの売り場にも店員がいます。店員が小さな試食を差し出し、どこで採れたものかを説明してくれるとき、それは単なる試食ではありません。何を食べているのかに関心を持ってほしい、という気持ちが込められています。ちゃんと耳を傾けて、お礼を言い、試食はひとつだけ。3つももらうものではありません。

デパートで覚えておくことはひとつだけ。店員の心配りに、こちらも同じくらいの気配りで応えることです。

知っておくと役立つこと

  • 返品は厳しい — 日本の接客が手厚いので、返品にも同じように融通をきかせてくれると思いがちですが、そうでないことが多いのです。レシートを持っていき、条件は店や売り場によって違うと考え、セール品は返品できないものと思っておきましょう。「気が変わった」には、とても丁寧に、でもきっぱりと断られるかもしれません。
  • 季節の催しには、それぞれの作法がある — 初売り(たいてい1月2日から)の福袋、バレンタインのチョコレート売り場、お中元やお歳暮の贈り物の季節などです。これらは欧米でいう「セール」とは違い、それぞれにふさわしい振る舞いがある行事です。福袋の列で押したり奪い合ったりすると、冷たい視線を浴びます。
  • 試着室のカーテン — 試着室のカーテンを開ける前に、カーテンが閉まっていないか、前に靴が脱いでないか(使用中によくある目印です)を確かめましょう。鍵のかからないカーテンでも、中に人がいることがあります。
  • まず免税カウンターへ — 大きめのデパートの多くには、外国人旅行者向けの免税カウンターがあります(詳しくは免税ショッピングの記事を参照)。各フロアのレジとは別の場所にあるので、店を出る前に、パスポートとレシートを持って立ち寄りましょう。2026年11月1日からは、レジで消費税込みの価格を払い、空港での税関確認のあとで税金が還付される仕組みになります。ただし、お店で免税の購入として記録してもらっていることが条件です。

クイズで確認

デパートでの振る舞いが身についたか、3問で確かめてみましょう。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 開店時に並んでいる店員に、お辞儀を返したほうがいい?

  2. Q2 店員が差し出すのを待たずに、デパ地下の試食を自分で取ってもいい?

  3. Q3 デパ地下で買った食べ物を、ほかのフロアを歩きながら食べてもいい?