歩きスマホがいつまでも嫌われ続ける理由
日本では十年以上にわたって、歩きスマホをやめようという啓発キャンペーンやポスター、駅のアナウンスが続いてきました。この言葉は誰もが知っています。鉄道会社と携帯電話会社は「やめましょう、歩きスマホ。」という合言葉で共同キャンペーンを行ってきました。それでも東京消防庁は、衝突、ホームからの転落、階段からの転落など、歩きスマホがらみの事故による救急搬送を、いまも毎年数十件記録しています。
それでも嫌われ続けるのは、日本の公共の場がみんながお互いを見ながら動きを合わせることで成り立っているからです。駅の入口に交通整理の係員がいなくても回るのは、200人の通勤客がすでにお互いを見ながら自然と流れを作っているからです。歩きスマホの人は、その仕組みに穴を開けてしまいます。スピードも読めない、進む方向も読めない、目も合わない。一人がやるだけで、周りのみんなが合わせなければならなくなるのです。
大和市の条例 — 罰則ではなく、意識づけのため
2020年6月、神奈川県大和市が全国で初めて歩きスマホを防ぐ条例を定め、7月1日に施行しました。屋外の公共の場でスマートフォンを操作するときは立ち止まって行い、ほかの歩行者の通行を妨げないように、という内容です。
旅行者が知っておきたいポイントは次のとおりです。
- 罰金はありません。 この条例は意識を高めるためのもので、罰則はありません。日本のどこにも、歩きスマホで反則切符を切られるような決まりはありません。
- その後、ほかの自治体もいくつか続きました。 東京都足立区や大阪府池田市などで、こちらも罰則はありません。
- 実際の問題から始まりました。 条例の直前に市が数えたところ、大和市の主な駅の周辺では、歩行者の約12%が歩きながらスマホを操作していました。条例は、罰則ではなく周りの目によってこれを変えることをめざしています。
逮捕されることはありません。それでも、伝わってくるメッセージははっきりしています。画面を見たいなら、歩くのをやめましょう。
エスカレーターのルールは変わりつつある — 歩かずに立ち止まる
久しぶりに日本を訪れた人ほど驚くのがこれです。「東京は左、大阪は右に立ち、空いている側を歩く」という昔ながらの習慣をやめようと行政が呼びかけています。ただし、いまも多くの人がこの習慣に従っています。
- 埼玉県が2021年3月、全国で初めてエスカレーターを歩かないよう求める条例を定めました(同年10月施行)。罰則はありません。
- 名古屋市も2023年10月に続きました。こちらも罰則はありません。キャンペーン期間中は、ボランティアの「なごやか立ち止まり隊」がエスカレーターに乗って、立ち止まって乗る手本を見せています。
- 消費者庁も、エスカレーターを歩かないよう公式に呼びかけています。
- 日本エレベーター協会の2024年度の調査では、回答者の90.2%が、エスカレーターを歩くのはやめるべきだと答えました。
実際のところ、日本のエスカレーターでは上りでも下りでも歩かず、乗っている間はスマホを見ないこと。手すりにつかまり、両足で立ち、画面はしまっておきましょう。
ぶつかったときの謝り方 早見表
- すれ違いざまに触れた、軽く肩が当たった:「すみません」+15度の会釈。2秒で終わりです。
- 強くぶつかった、持ち物を落とさせた:立ち止まって落ちたものを拾い、「すみません」と言って少し深めに頭を下げ、「大丈夫ですか?」と声をかけます。
- けがをさせてしまった:その場にとどまって手を貸し、必要なら駅員が来るのを待つか、交番を探しましょう。
日本の人づきあいでいちばん避けたいのは、ことを大きくすることです。長い英語の謝罪、大げさな身振り、どちらが悪いかの言い合い。短く、誠実に謝って、先へ進む。これがすべてです。
クイズで確認
歩きスマホとその周りのルールを、3問で確かめてみましょう。