お辞儀は、ひとつの言葉のようなもの
日本のお辞儀は、ただのあいさつのしぐさではありません。相手との関係や場面、そして相手への気持ちまで伝える、立派なコミュニケーションの手段です。同じ人でも、上司、部下、お客さん、街で会った知らない人、尊敬する年配の人に対して、一日のうちにそれぞれ違うお辞儀をしています。どのお辞儀も、相手への敬意や改まり具合、気づかいの度合いに合わせて調整されているのです。
旅行者がその細かいニュアンスまで身につける必要はありません。必要なのは、基本の3つだけです。日常のちょっとしたやりとりには軽い会釈、あいさつやお礼には丁寧なお辞儀、謝罪や大切な場面には改まったお辞儀。これで旅行中に出会う場面のほとんどはカバーできますし、この3つをだいたい正しい深さと長さでできれば、日本の文化をちゃんと気にかけている人だと思ってもらえます。
いちばん大事なのは、お辞儀は下に向かう動きであって、あごでうなずくことではないということ。そして、立ち止まって相手に向き合ってからすることです。この2つができていれば、いいスタートを切れています。
気軽なら15度、丁寧なら30度、改まった場面なら45度。 あごを上げず、頭を下げましょう。
知っておくと役立つこと
- 畳の上でのお辞儀 — 旅館や茶道、畳の部屋での改まった食事など、畳に座っているときは、座ったまま両手を体の前の畳について頭を下げることがよくあります。普通の丁寧なお辞儀なら、額を床につける必要はありません。手をついて体を前に傾けるだけで十分です。伝統的な場で使われる、改まった形のお辞儀です。
- 名刺交換 — 日本で名刺を交換するときには決まった流れがあります。お互いに立ち、名刺は相手が読める向きにして両手で差し出します。詳しくは専用の記事で紹介しています。
- お礼のお辞儀と、お詫びのお辞儀の違い — 深いお辞儀は、お詫びにも心からのお礼にも使われるので、深さだけでは区別できません。違いを伝えるのは、一緒に言う言葉(「すみません」か「ありがとうございます」か)と表情です。
- 電話をしながらのお辞儀 — 日本人の多くは、相手に見えないのに電話中にもお辞儀をします。見せるためではなく、会話の中に深く染みついていて、気づかないうちに体が動いてしまうことが多いのです。旅行者がまねする必要はありませんが、地元の人がやっていても驚かないでください。日本文化の中でも、ほほえましい一面です。
クイズで確認
お辞儀の基本が身についたか、3問で確かめてみましょう。