名刺交換のやり方 — 日本式ビジネスマナー

名刺交換は小さな儀式です。両手で渡し、軽くお辞儀をし、受け取った名刺に目を通し、テーブルに置く。日本のビジネスパーソンが当然のように期待している流れを、順を追って説明します。

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名刺を片手で差し出す

打ち合わせのテーブル越しに、片手で名刺を日本人のビジネスマンへ滑らせて渡している旅行者
NG

テーブル越しに名刺を投げるように渡す、片手で渡す

日本の名刺交換は、両手で行うものです。片手で差し出したり、ましてや放り投げたりテーブルの上を滑らせたりすると、ぞんざいに見えてしまいます。改まった仕事の場では両手で差し出すのが基本なので、初対面でここを間違えると、第一印象がよくないものになりかねません。

名刺の上の両角を両手で持ち、文字が相手を向くようにして日本人のビジネスマンへ小さくお辞儀しながら差し出している旅行者
OK

両手で持ち、文字を相手に向けて、軽くお辞儀をしながら差し出す

名刺は両手でふちを持ち、名前やロゴに指がかからないようにして、日本語(または英語)の面を相手に向けます。渡すときに、相手がそのまま読めるようにするためです。軽くお辞儀(15〜30度)をしながら差し出し、「はじめまして、〇〇と申します」や「よろしくお願いします」とひと言添えます。受け取る側も、両手で受け取ります。

もらった名刺をすぐにしまう

差し出された名刺を片手で受け取り、そのままズボンの後ろポケットに押し込んでいる旅行者
NG

片手で受け取り、すぐにポケットや財布に押し込む

もらった名刺をすぐにしまうのは、失礼とされます。お尻のポケットや、座るときに下敷きになる財布に入れるのはなおさらです。名刺はその人自身を表すもので、名刺の扱い方は、その人をどう扱っているかの表れだと考えられています。すぐに財布に突っ込むと、名刺も、その人も、どうでもいいと言っているように見えてしまいます。

名刺を両手で受け取って目を通し、自分の席の前のテーブルに置いている旅行者
OK

両手で受け取り、目を通して、自分の前のテーブルに置く

名刺は両手で受け取り、名前、肩書き、会社名にさっと目を通してから、自分の前のテーブルに置きます。置く場所は、自分の左側で、名刺入れの上に載せることが多いです。複数の人と打ち合わせをするときは、相手の座っている順に名刺を並べておくと、話の途中でも名前を確認できます。名刺は打ち合わせの間ずっとテーブルに置いておき、終わってからしまいましょう。

もらった名刺に書き込む

受け取った名刺の裏に、ペンで書き込みをしている旅行者
NG

もらった名刺の裏にメモを書いたり、電話番号を書き留めたりする

相手の前でもらった名刺に何かを書き込むのは、失礼だと広く考えられています。相手を表すものに書き込むことになるからです。打ち合わせ中に裏へ電話番号を書き留めるだけでも、ぞんざいに見えます。打ち合わせの間は、名刺は受け取ったままの状態にしておきましょう。

受け取った名刺をテーブルに置いたまま手を触れず、小さな手帳を開いてメモを取っている旅行者
OK

メモは別のノートやメモアプリに取る

打ち合わせの内容や会った人のことを書き留めるために、小さなノートかメモアプリを用意しておきましょう。「名前:〇〇、会社:〇〇、話した内容:〇〇」といったメモは、名刺ではなくそちらに書きます。あとで自分の席に戻ってから、名刺に日付やメモを書き足す人もいます。ただし、名刺をくれた相手の前では決してしないこと。

名刺を忘れる、途中で切らす

打ち合わせの席で名刺を切らし、空のポケットを叩いている旅行者と、名刺を差し出している日本人のビジネスマン
NG

名刺を持たずに打ち合わせに行く、少ししか持っていかずに途中で切らす

日本のビジネスの世界では、名刺を持たずに打ち合わせに行くと、準備ができていないように見えることがあります。思っていたより相手の人数が多くて途中で切らしてしまうと、「名刺を切らしておりまして」と謝って、自分の名刺を渡さずに相手の名刺だけ受け取ることになります。

名刺がぎっしり詰まった薄い革の名刺入れを開いている旅行者
OK

名刺は多めに、専用の名刺入れに入れて持ち歩く

名刺専用の小さな革や金属のケース(名刺入れ)に、予備をたっぷり入れて持ち歩きましょう。会う予定の人数より多めに用意しておくこと。帰り際に同僚を紹介されるかもしれません。名刺入れがあれば、カバンの中で名刺が折れたり傷んだりするのも防げます。名刺入れは文具店やデパートで買えます。

名刺が握手のように扱われる理由

名刺交換は、連絡先を交換するためだけのものではありません。仕事上の関係を始めるための小さな儀式です。両手で渡し、軽くお辞儀をし、しっかり目を通し、テーブルに置く。そのひとつひとつが、「この出会いを大切にしています」というメッセージになっています。ここをきちんとできるかどうかも、いい第一印象を作るうちです。

それに、ごく実用的な理由もあります。日本の打ち合わせには、名前も肩書きも覚えにくい人が何人も参加することがよくあります。座っている順に名刺をテーブルに並べておけば、打ち合わせの間ずっと使える早見表になります。スマートで、しかも本当に役に立ちます。

両手で渡し、両手で受け取り、テーブルに置いたら、そのまま。それで全部です。

名刺交換の流れ

  • 渡す — 名刺を両手で持ち、日本語の面を相手に向けます。軽くお辞儀をして、「よろしくお願いします」。
  • 受け取る — 両手で受け取ります。名前、肩書き、会社名にちゃんと目を通しましょう。ほんの少しでも、しっかり向き合う時間をとります。
  • 置く — 名刺は自分の前のテーブルに置きます。左側で、名刺入れの上に載せることが多いです。何枚もあるなら、座っている順に並べます。
  • そのあとは触らない — 名刺は打ち合わせの間ずっとテーブルに置いておきます。しまうのは、打ち合わせが終わってからです。

知っておくと役立つこと

  • 日英両面の名刺 — 海外の相手と仕事をする日本のビジネスパーソンの中には、片面が日本語、もう片面が英語の名刺を持っている人もいます。日本に行くために名刺を作るなら、同じようにしておきましょう。日本語の面には、カタカナで書いた名前と、会社名、肩書きを入れます。
  • 名刺を出す順番 — 改まった場では順番があります。ふつうは目下の人や訪問した側から先に出し、複数人の打ち合わせでは、いちばん目上の人どうしから交換します。迷ったら、相手の動きに合わせましょう。
  • 名刺入れを持つ — 専用の名刺入れ(文具店やデパートで買えます)は名刺を守ってくれますし、作法を大事にしている姿勢も伝わります。お尻のポケットから折れた名刺を出したら、その逆の印象になります。
  • デジタル名刺もある — Eightのような名刺アプリでは、QRコードでデジタル名刺を交換できますが、紙の名刺の交換も今なおよく行われています。紙の名刺を基本にして、デジタルはおまけと考えておきましょう。

クイズで確認

名刺交換の流れが身についたか、3問で確かめてみましょう。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 日本では、名刺を片手で渡してもいい?

  2. Q2 もらった名刺は、すぐに財布にしまってもいい?

  3. Q3 打ち合わせ中に、もらった名刺の裏にメモを書いてもいい?