エレベーターは小さな村。乗っている全員に役目がある
日本のエレベーターのマナーは、実はエレベーターだけの話ではありません。日本の日常の多くの場面に通じる感覚の話です。やるべきことに気づいたら、言われる前にさっとやり、大げさにしない。 パネルの横にいる人がボタンを押すのは、壁にルールが書いてあるからではありません。たまたまいちばん手を貸しやすい場所にいて、手を貸すのが当たり前だと思っているからです。
旅行者にとってうれしいのは、どれも失敗して困るようなことではない、という点です。うまくできなくても、たぶん誰も何も言いません。でも、うまくできると、多くの旅行者が気づかない流れにすっと溶け込めたような、ささやかで温かい手応えを感じられます。中でもボタン係の役目は、気軽にできる小さな親切です。「何階ですか?」と聞いて、ほかの人の階のボタンを押すのは、まさに日本のマナーの案内がすすめていることです。
ひとことで言えば:パネルの横にいたら、あなたが担当。降りる人のために開ボタンを押さえ、閉ボタンは全員が乗ってから。そしてドアのほうを向いて立つ。
知っておくと役立つこと
- エレベーターガール — 各階の案内をし、エレベーターを操作する制服姿の案内係は、かつてはデパートの定番でしたが、今ではほとんど残っていません。日本橋高島屋は、今もそれが見られる場所のひとつです。本館の正面エレベーターは、今も案内係が手で操作しています。
- 閉ボタンはよく使われる — 欧米のエレベーターの閉ボタンは押しても効かない「飾り」だ(多くは決まった待ち時間が過ぎるまで閉まらない)、という話を聞いたことがあるかもしれません。日本では、閉ボタンはしょっちゅう使われていて、毎回のごく普通の操作の一部です。タイミングさえ合っていれば、遠慮なく押しましょう。
- 開ボタンは押している間ずっと開いている — 押し続けていれば、ドアは開いたままです。荷物を持った人がゆっくり降りるときや、グループがまだ乗り込んでいる途中のときに役立ちます。
- 病院や役所 — 表示がなくても、お年寄りや体の不自由な方を優先するのが思いやりです。スペースが必要そうな方がいたら、自分は降りて次のエレベーターを待ちましょう。ささやかな心配りです。
- カードキー式のホテルのエレベーター — 日本のホテルの中には、ルームキーをかざさないと客室階のボタンが反応しないところがあります。あなたがボタン係で、ほかの宿泊客が自分の階に行きたい場合は、その人が先に自分のカードをかざす必要があるかもしれません。押しても反応しなくても、慌てなくて大丈夫です。
クイズで確認
ボタン係の動きが身についたか、3問で確かめてみましょう。