日本のお宅に招かれたら?手土産・靴・席で失敗しないために

日本人の家に招かれるのは、とても光栄なことです。そこには、手土産の渡し方、玄関での靴の脱ぎ方、座ってよい席、トイレ用スリッパでリビングに戻らないことなど、さりげない作法がひと通りあります。押さえておきたいポイントをまとめました。

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手土産の渡し方を間違える

ドアが開いた瞬間、玄関でホストにビニールの店袋を押し付ける訪問者
NG

家に入ったとたん、玄関で手土産を押しつけるように渡す

ドアが開いた瞬間に手土産を差し出してしまう人がいます。お店のビニール袋に入れたまま、何も言わず、玄関の上がり口に半分足をかけた状態で。手っ取り早いようですが、これでは味気なく映ります。片手で、袋のまま、「どうぞ」とぼそっと渡すと、贈り物に温かみを添えるちょっとした段取りをまるごと省くことになります。受け取った側も袋を手にしたまま、何と返せばいいか困ってしまいます。感謝の気持ちというより、ついでに持ってきた物のように見えてしまうのです。

挨拶のあと、店袋を脇に置いて箱入りの贈り物を両手でホストに差し出す座った客
OK

席に着いてから、袋から出して両手で渡す

部屋に通されて挨拶を済ませてから、手土産を渡しましょう。渡す前に、まずお店の袋から出します。袋は持ち運びと汚れよけのためのものなので、自分で持ち帰ります。品物の正面が相手に向くようにして両手で差し出し、控えめなひと言を添えます。定番は「つまらないものですが」、今どきの温かい言い方なら「お口に合えば嬉しいです」。手土産には、自分の地元のおいしいお菓子やおつまみ、名の知れたお店の品などが向いています。ホストの家の近くで買うのではなく、前もって用意しておきましょう。🎁

玄関で靴を正しく脱げない

靴を履いたまま上がり框に上がる客、下にはつま先を内に向けて散らばった靴
NG

靴のまま上がる、または靴を脱ぎ散らかしてつま先を家の中に向けたままにする

玄関には、はっきりした境目があります。靴は一段低い土間に置き、一段高い上がり框(あがりかまち)には靴のまま絶対に上がりません。ところが訪問者はここでつまずきがちです。靴のまま床に上がってしまう、つま先を家の中に向けたまま脱ぎ散らかす、ホストに背を向けて靴をもたもた直す、といった具合です。敷居(戸口の木の枠)を踏むのも、ちょっとしたNGです。どれも大失敗というほどではありませんが、ホストが最初に目にするあなたの振る舞いです。

靴下姿で膝をつき、靴のつま先を戸口に向けて玄関の端にきちんと揃える客
OK

前を向いたまま靴を脱ぎ、つま先を戸口に向けてそろえる

家の中を向いたまま靴を脱ぎ、靴下で床に上がります。それからしゃがんで靴の向きを変え、つま先を戸口に向けます。帰るときにすぐ履けるようにするためです。置き場所は玄関の真ん中ではなく、端にきちんとそろえましょう。このとき、ホストに背中を向けきらず、少し斜めの姿勢で靴に向かうのが丁寧なやり方です。敷居も踏まないように。5秒ほどのことですが、「わかっている人だ」とすぐに伝わります。👟

違う席に座ってしまう

勧められもせず、飾りのある床の間の前の上座にドサッと座り込む客
NG

部屋でいちばん良い席に、いきなり座り込む

日本の部屋には席の上下があり、いちばん良さそうに見える場所はたいてい上座(かみざ)です。ふつうはドアからいちばん遠い席や、床の間(掛け軸などを飾るくぼんだスペース)の前の席がそれにあたります。勧められもしないのに部屋に入るなりそこへ座ってしまったり、床の間にかばんを置いたりすると、互いに譲り合うちょっとしたやりとりを飛ばすことになります。床の間は飾るための場所で、物置き棚ではありません。

ホストが上座へ促すなか、ドアの近くで礼儀正しく待つ客
OK

下座のあたりで控えめに待ち、案内してもらう

上座に自分から座りにいくのはやめましょう。お客さんはホストに上座へ案内されることが多いので、どこに座るか示されるまで待ちます。まだ誰も案内してくれないときは、下座(しもざ、ドアにいちばん近い席)のあたりで控えめに待ちましょう。ホストに良い席を勧められたら、「恐れ入ります」と軽く言って座ればOKです。遠慮しすぎるとかえって気まずくなります。床の間には何も置かないようにしましょう。🪑

スリッパの失敗と長居

トイレ用スリッパのままリビングに入る客、足元を見るホスト
NG

トイレ用スリッパで戻ってくる、スリッパで畳に上がる、何時間も居座る

よくある失敗が2つあります。1つ目は、トイレの中に置いてある専用のトイレ用スリッパ。多くの家にありますが、履き替えるのを忘れてそのままリビングまで歩いてきてしまう人がいます。ホストはたいてい気づきます。外国人のお客さんにありがちな定番の失敗です。2つ目は、家のスリッパのまま畳の部屋にずかずか入ってしまうこと。さらに、場がすっかり落ち着いたあとも、いつまでも帰らずに居続けてしまうことも挙げられます。

トイレの戸口で立ち止まり、トイレ用スリッパから家のスリッパに履き替える客
OK

トイレの入口でスリッパを履き替え、畳は靴下で、長居はしない

トイレ用スリッパはトイレに置いたまま。出るときは毎回、入口で家のスリッパに履き替えます。家のスリッパも、畳の部屋に入る前に脱ぎます。畳は靴下で歩くもので、スリッパで上がることはありません。訪問はほどほどの長さで切り上げ、お開きの合図(湯のみが片付けられる、会話が途切れがちになる)に気を配りましょう。帰り際には玄関でしっかりお礼を言います。翌日に「お招きありがとうございました。お料理とてもおいしかったです」と短いメッセージを送ると、とても気の利いた心づかいになります。🧦

家に招かれるのは、思っている以上に特別なこと

「今度うちに遊びにおいでよ」が気軽な誘いである国は多いでしょう。でも日本では、家はプライベートで大切に整えられた空間なので、家に招くのは相手を信頼しているというはっきりしたしるしです。友人同士でも、お互いの家ではなくレストランやカフェで会うことがよくあります(家に招かれることを「お宅訪問」といいます)。だからこそ、招かれたときは細かいところまできちんとしておきたいもの。とはいえ、堅苦しく構える必要はありません。ホストがさりげなく見ているのはいくつかの所作だけで、一度覚えてしまえば何の苦労もありません。

到着してからの流れ

マナーのほとんどは最初の数分に詰まっていて、しかもあっという間に過ぎていきます。順番を頭に入れておくと安心です。到着したら、玄関でホストに挨拶して中に入ります。玄関では、前を向いたまま靴を脱いで靴下で上がり、靴のつま先を戸口に向けて端にそろえます。部屋に通されたら、席へ案内してもらいます。ホストに任せて、上座に自分から座らないようにしましょう。

手土産を渡すのはそのあとです。袋から出して、両手で、品物の正面をホストに向け、控えめなひと言を添えます。手土産がこの流れの終わりのほうにあることに注意してください。ドアが開いたとたんに渡そうとして、ここでつまずく人がたくさんいます。

スリッパ、畳、そして帰るタイミング

家の中では、たいてい室内用のスリッパを出してもらえます。スリッパはどこでも履いてかまいませんが、畳の部屋だけは例外です。畳は靴下で上がる場所なので、スリッパは畳の手前で脱ぎます。また、トイレには専用のトイレ用スリッパがあり、これは決してトイレの外に履いて出てはいけません。入口で履き替えましょう。これを忘れるのは外国人のお客さんにありがちな定番の失敗なので、頭の片隅に留めておいてください。

帰るタイミングは、その場の空気で判断しましょう。湯のみが片付けられ、会話が途切れがちになってきたら、そろそろ帰る合図です。玄関で心を込めてお礼を言い、翌日に短いお礼のメッセージを送れば、ちょっとしたことでも相手にはしっかり伝わります。

クイズで確認

次に招かれる前に、手土産・靴・スリッパのポイントを3問で確かめておきましょう。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 手土産は、玄関に着いたらすぐ、お店の袋に入れたまま渡すべき?

  2. Q2 靴を脱いだら、つま先を戸口のほうに向けておくべき?

  3. Q3 トイレ用スリッパのままリビングに戻ってもいい?