なぜスリッパを履き替えるのか
日本で家の中と外を分けるのは、堅苦しい作法だからではありません。汚れたものと清潔なものを分けるためです。道路は汚れていて、靴はその汚れを運んできます。家や旅館、畳の部屋の中は、床に座り、布団を敷いて寝て、低い座卓で食事をする場所です。だから靴は入口で脱ぐのです。
スリッパは、その中間にあたります。道路の汚れを持ち込まずに、廊下などの室内を歩けるくらいには清潔な履き物です。ただ、スリッパも廊下やトイレの近くを歩くので、いちばん清潔な畳に上がるにも、いちばん汚れやすいトイレで使うにも向いていません。そこで、次の4つのゾーンに分かれます。
- 屋外(外の靴):玄関の外だけ。
- 室内・廊下(室内用スリッパ):廊下、ロビー、洋室。
- トイレ(トイレ用スリッパ):トイレの中だけ。
- 畳(素足か靴下):畳敷きの寝室や食事処、茶室、改まった部屋。
汚れの度合いで場所が分かれていると考えれば、すべて納得がいきます。
「靴を外向きにそろえる」こと
ついでに知っておきたい小さなルールがあります。昔からの作法では、前を向いたまま靴を脱いで上がり、しゃがんでつま先がドアのほうを向くように向きを変え、少し端に寄せておきます。こうしておけば、帰るときにそのまま履けます。旅館では、玄関のスタッフがこれをしてくれることもあります。ちょっとしたことですが、きちんとした印象になります。
ルールを破ってしまったら
怒られることはまずありません。スタッフが申し訳なさそうに笑いながら、足元とトイレを交互に指さしたり、何も言わずにスリッパを正しい場所に戻してくれたりするかもしれません。失敗に気づいたら、「すみません」とひと言だけ。静かに一度言って、直して、それで終わりです。
クイズで確認
スリッパの履き替えについて、3問で確かめてみましょう。