浴衣の着方 — 左が上、右が上はお葬式です

浴衣は、旅館や温泉、お祭りで着る綿の着物です。守るべきルールはひとつ、左側を上に重ねる(右前)こと。逆にすると、亡くなった人に着せる死装束と同じ着方になってしまいます。

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右側を上に重ねて着る(左前)

旅館の廊下で、右の身頃を左の上に重ねて浴衣を着た宿泊客が、間違いに気づかずくつろいで立っている
NG

浴衣を着るとき、右の身頃を左の上に重ねてしまう

右側を上に重ねる「左前」は、日本の葬儀で、昔から亡くなった人に着せるときの合わせ方です。旅館やお祭りでその着方をしていると、日本人の目にはとてもはっきりした意味で引っかかります。「死装束と同じ着方をしている」と映るのです。はっきりわかる間違いなので、スタッフや親切な人がそっと教えてくれることもあります。

畳の部屋で、左の身頃を右の上に重ねて浴衣を着た宿泊客が立ち、衿が右手側に開くきれいなV字になっている
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必ず左側を上に(右前)。衿のV字は右手側に開く

浴衣の両側を広げて持ち、左側の身頃を右側の上に重ねて、左の衿が上にくるようにします。下を見たとき、衿の合わせ目のV字が右手側に開いていて、右手をそのまま左胸のあたりの懐にすっと入れられれば正解です。自信がなければ、正しく着た浴衣の写真を見て合わせましょう。ルールは、いつでも左が上です。

帯の結び方を間違える

旅館の廊下を、ゆるく結んだ帯がずり落ち、浴衣の前がはだけたまま歩いている宿泊客
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帯がゆるすぎる、または結び目がだらんとしていて、すぐほどける

帯は浴衣の前を閉じておくためのベルトです。ゆるすぎると歩くうちに前がはだけて、見せるつもりのないところまで見えてしまいます。結び目がいいかげんだと、夕食の途中でほどけてしまいます。帯にはふつうの位置もあり、男性は腰骨のあたりに低めに、女性はウエストの高めの位置に巻きます。

浴衣をきちんと合わせ、背中側のウエストの位置で帯を簡単な蝶結びにしている宿泊客
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帯を体に2周巻き、後ろか横で簡単な蝶結びにする

旅館で浴衣と一緒に置かれている帯は、たいてい長くて平たい帯です。浴衣を左が上になるように合わせたら、その上から帯をたいてい2周巻きます(男性は腰骨のあたりの低い位置、女性はウエスト)。後ろか横で、簡単な蝶結びかひと結びにしましょう。昔から、男性は結び目を後ろに、女性は後ろでふっくらした蝶結びにしますが、旅館で気軽に着る分にはもっと簡単な結び方で十分なことが多いです。わからなければ旅館のスタッフに聞きましょう。

浴衣に合わない履き物を履く

浴衣姿の宿泊客が外履きのまま畳に上がり、入口には室内用スリッパが使われないまま残されている
NG

浴衣に外履きの靴を合わせる

浴衣は昔から足袋を履かず、外では素足に木の下駄を合わせて着るものです。旅館には、館内用のスリッパと、外に出るときの下駄やサンダルが用意されていることが多いです。浴衣に自分のスニーカーを合わせると、浮いて見えます。

旅館の庭に出る戸口で、浴衣姿の宿泊客が素足を下駄に通し、上がり口には室内用スリッパをそろえて置いている
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旅館の履き物を使う。館内はスリッパ、外は下駄かサンダル

多くの旅館では、玄関や部屋の近くに館内用のスリッパが置いてあります。浴衣で館内を歩くときはこれを使います。庭に出たり、外の露天風呂まで歩いたりする場合は、たいてい出口の近くに下駄や外用のサンダルが別に用意されています。決められた場所で履き替えましょう(基本的な考え方は、靴を脱ぐマナーの記事を参考にしてください)。

きちんとした旅館で、浴衣をだらしなく着る

しわだらけの浴衣で衿元が大きくはだけ、帯が腰まで下がった状態で旅館の夕食の席に来た宿泊客
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帯はゆるみ、衿ははだけ、浴衣がずり落ちそうなまま旅館の夕食に行く

多くの旅館の会席料理は、部屋や食事処で出されるコース料理で、浴衣のまま行くのはふつう問題ありません。ただし、ある程度きちんと着ていることが前提です。帯がほどけていたり、衿元がはだけていたり、浴衣が片方の肩から明らかにずり落ちかけていたりすると、だらしなく見えます。ほかの客もいる食事処ではなおさらです。

夕食の前に鏡で身なりを確かめ、浴衣の衿を整えて腰の帯を締め直している宿泊客
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夕食の前に帯を締め直し、衿を整え、合わせを確認する

食事処に向かう前に、鏡の前でさっと身なりをチェックしましょう。左側が上になっているか(確認)。衿が首元にきれいに沿っているか(直す)。帯がずれずにしっかり締まっているか(ゆるければ締め直す)。浴衣は、脱げかけのバスローブではなく、きちんと整って見えるのが理想です。30秒ほど直すだけで、旅館にふさわしい着こなしになります。

合わせを間違えると、なぜ「お葬式」になるのか

服装のルールの多くはおしゃれの話ですが、このルールは弔いのしきたりに関わるものです。日本の昔ながらの葬儀では、亡くなった人に右側を上にして着せます。生きている人の着方とは逆です。だから、逆の合わせ方は目につくのです。ですから、旅館で浴衣の合わせを逆にしてしまうのは、ファッションの失敗ではありません。うっかり死装束と同じ着方をしてしまっている、ということなのです。

うれしいことに、覚えるルールはひとつだけです。男性も女性も、いつでも左側を上に。下を見たときに衿が右手側に開いていれば正解です。左手側に開いていたら、着直しましょう。

覚え方:右手が衿の合わせ目から懐にすっと入ればOK。 入らなければ、逆に着ています。

知っておくと役立つこと

  • 温泉街をそぞろ歩き — 城崎のような温泉街では、旅館の浴衣に下駄を履いて外湯をめぐるのも楽しみのひとつです。合わせをきちんとして帯をしっかり締めておけば、同じように外湯めぐりをしているほかの宿泊客にすっかりなじめます。
  • 浴衣の下に着るもの — 寒ければTシャツを、暑ければ下着だけでかまいません。ただし、衿元から見えないようにしましょう。ほかの客もいる食事処で食べるなら、衿がずれたときのために、キャミソールやTシャツを下に着ておくと安心です。
  • 男性と女性の違い — 合わせの向きは同じで、帯の位置が違います。男性は腰の低い位置に、女性はウエストの高い位置に帯を締めます。わからなければスタッフに聞きましょう。
  • 浴衣と着物 — 浴衣は、夏や旅館、お祭りで着る、気軽な綿の着物です。着物は、何枚も重ねて小物も合わせる、よりあらたまった装いで、絹のものが多いです。左を上にするルールはどちらも同じです。

クイズで確認

浴衣のルールを3問で確かめてみましょう。20秒ほどで終わります。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 浴衣を着るときは、右側の衿を上にする?

  2. Q2 旅館の浴衣に、自分の靴を合わせてもいい?

  3. Q3 帯がゆるく、衿がはだけたままの浴衣で夕食に行っても大丈夫?