乾杯のタイミング:グラスの高さ、誰が音頭を取るか、そして言ってはいけない一語

乾杯は「チアーズ」と叫べば済むものではありません。グラスの位置には上下関係が表れ、一字違えば葬儀の言葉になり、会が始まるタイミングは主催者が決めます。短いけれど、気をつける点の多い儀式です。

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目上の人と同じ高さでグラスを合わせる

会食の乾杯で、若手社員が上司と同じ高さでグラスを合わせている
NG

上司や取引先など、明らかに目上の人と同じ高さで乾杯する

ビジネスや改まった場では、目上の人のグラスと縁どうしを合わせると、自分を相手と同列に置いているように受け取られることがあります。日本の乾杯には、さりげない上下関係が組み込まれています。会社の飲み会や取引先との会食、宴会では、目下の人はグラスを合わせるとき、相手のグラスより少し低く持つのが一般的です。大げさにお辞儀をするわけではなく、意識して少し下げるだけです。忘れてもたいてい叱られはしませんが、気づく日本人の同僚もいるかもしれません。

乾杯のとき、目上の人のグラスより少し低くビールのグラスを傾けている若手
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相手より少しだけ低い位置でグラスを合わせる

グラスを合わせるとき、自分のグラスを相手より少しだけ低くします。敬意を示すちょっとした仕草です。同年代の友人どうしや、気心の知れた同僚と気軽に飲むときは、こうしたことは気にせず好きに合わせてかまいません。このルールが意味を持つのは、上司や取引先、教授、かなり年上の人など、上下の差がはっきりしているときだけです。迷ったら少し低めに。そのほうが無難です。🍻

自分の出番ではないのに乾杯を始めてしまう

上司がまだ話し始めようとしているのに、若手社員が勢いよくグラスを上げて乾杯と叫んでいる
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改まった会食で、真っ先にグラスを上げて「乾杯!」と叫ぶ

会食や宴会など、主催者や主賓がはっきりしている集まりでは、乾杯は早い者勝ちではありません。主催者やいちばん目上の人、あるいは指名された幹事が音頭を取ります。乾杯の前に、短いあいさつが入ることも多いです。同僚どうしなら、乾杯といっしょに「お疲れさまです」と言うのもよく聞きます。若手や招かれた側が先に始めてしまうと、目上の人の見せ場を奪うことになります。友人どうしの気軽な席ならまったく問題ありませんが、会社の飲み会でやってしまうと、上司の出番をつぶしたことになります。

居酒屋で、目上の主催者がグラスを上げて音頭を取るのを一同が静かに待っている
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主催者か目上の人が音頭を取るのを待ち、それに合わせる

目上の人がグラスを上げて話し始めるまで、自分のグラスはテーブルに置いたままか、少し持ち上げる程度にしておきます。音頭を取る人が「乾杯!」と言ったら、それを合図にグラスを上げ、「乾杯」と返して、ひと口飲みます。自分がいちばん目上の人や主催者なら、音頭を取るのは自分の役目です。ひと言あいさつして(「本日はお集まりいただきありがとうございます」くらいで十分です)、乾杯します。短くまとめましょう。長々としたあいさつは、よくないとされています。

「乾杯」ではなく「献杯」と言ってしまう

明るい居酒屋の乾杯の場面で、自信たっぷりに間違った言葉を言い、友人たちが戸惑っている
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聞き間違えたまま、葬儀の言葉で乾杯してしまう

「乾杯」は普段使いの「チアーズ」です。「献杯」は音はほとんど同じですが、主に葬儀や法要で使う言葉で、故人に杯を捧げるという厳かな意味があり、グラスは合わせません。居酒屋や会社の飲み会で「献杯」と言うのは、誕生日パーティーで「故人に捧げて」と言うようなものです。たいていの日本人は聞き間違いだと受け取ってくれますが、かなりぎょっとされます。一度きちんと区別を覚えておきましょう。カンパイ(乾杯)とケンパイ(献杯)。違うのは母音ひとつだけです。

明るいグループの乾杯で、満面の笑みではっきりと乾杯と言っている人
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「乾杯」をしっかり覚える。「カン」は短い「ア」の音

「カンパイ」と発音します(「ン」は次の「パ」につられて自然と「ム」に近い音になるので、店の看板やメニューでは kampai と書かれていることもあります。どちらのローマ字も同じ「乾杯」です)。「ア」ははっきり短く。集まりで誰かが「献杯」と言うのが聞こえたら、それはたいてい宴会ではありません。葬儀での言い方なので、場は静かで厳粛なはずです。たった一字の違いで、場面はまったく変わります。

お酒を飲めないときや、遅れて着いたときに困ってしまう

グループの乾杯の最中、ただの水のグラスを持って戸惑っている下戸の人
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グラスを持たずに気まずそうに座っている、または水で乾杯する

つい固まってしまう場面が二つあります。ひとつは、お酒を飲まないとき。乾杯を見送るのか、何も頼まないのか、仕方なく水の入ったグラスを持つのか迷ってしまいます。日本では、ただの水での乾杯を避ける人もいます。水の入った杯は、別れや葬送の習わし(別れの盃として水を酌み交わす水杯や、亡くなる間際に口に含ませる末期の水)と結びついているからです。誰も騒ぎはしませんが、お茶やソフトドリンクのほうが無難です。もうひとつは、20分遅れて着いたら乾杯がもう終わっていたとき。やり直してもらうべきか、そっと合流すべきか迷います。立ち上がって自分のためにもう一度乾杯してほしいと言うのは、さすがにやりすぎです。

ほかの席が食事を続けるなか、遅れて来た人が隣の人と静かに小さく乾杯している
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ウーロン茶かソフトドリンクを頼む。遅れたら近くの人と小さく乾杯する

お酒を飲まない人は、ウーロン茶かソフトドリンクを頼んで乾杯しましょう。ウーロン茶は居酒屋や会食でよく頼まれるノンアルコールの飲み物です。持って、グラスを合わせれば、誰も気に留めません。乾杯のときは、できればただの水は避けましょう。遅れて着いたときは、軽く頭を下げて詫びてから席に着き、誰かに注いでもらうか自分で注いで(一人で追いつくのはかまいません)、近くの人と小さく乾杯します。テーブル全体を止める必要はありません。主催者が全員でやり直そうと言ってくれたらお言葉に甘え、そうでなければ控えめにしておきましょう。

乾杯は見た目より奥が深い

欧米の乾杯は、グラスを持って上げ、ひと言言って、合わせて飲む。だいたいそれだけです。日本の乾杯も遠目には同じに見えますが、目に見えないポイントが三つあります。誰が音頭を取るか、グラスをどの高さで合わせるか、どの言葉を言うかです。三つとも押さえれば、その夜でいちばんスムーズな30秒になります。間違えると、内心で気づく日本人の同僚もいるかもしれません。

友人どうしなら、どれもたいして問題になりません。ただ、上司や取引先、年上の親族が同席したとたん、乾杯の作法はぐっと厳しくなります。旅行者や新入りがつまずくのは、そういう場面です。

ひとことで言えば:目上の人の音頭を待つ、グラスを少し下げる、「献杯」ではなく「乾杯」と言う。

グラスの高さは、迷信ではなく今も生きている作法

目上の人のグラスより低く合わせるのは、日本のビジネスの飲みの場で今も行われている習慣です。日本のビジネス系メディアでも飲み会のマナーとして今も取り上げられていて、由来はよく知らなくてもそうしている人はたくさんいます。やることは小さく、グラスを合わせるときに相手より少し低く持つだけです。

友人と気軽に飲む居酒屋なら、誰も気にしません。でも上司や取引先、明らかに年上で立場が上の人が同席したら、このルールが当てはまります。

一人のとき、カウンターのとき

カウンターや立ち飲みで一人なら、グループもなければ乾杯の儀式もありません。注文して飲み物を受け取り、そのまま飲めばよく、乾杯は必要ありません。バーテンダーや隣の人が軽くグラスを上げて「乾杯」と言ってくれたら、同じように返してひと口飲みましょう。それで十分です。きちんとした乾杯の作法が必要になるのは、主催者がはっきりしているグループのときだけです。

クイズで確認

グラスの高さのルールと、葬儀で使う一語を、3問で確かめてみましょう。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 乾杯のとき、目下の人は目上の人よりグラスを少し低くするべき?

  2. Q2 親しい人との食事なら、「献杯」は「乾杯」の言い換えとして使える?

  3. Q3 お酒を飲まない場合、乾杯にはただの水がいちばん無難?