温泉での撮影がただのマナー違反では済まない理由
日本のマナーの多くは、社会的な決まりごとの範囲の話です。間違えれば周りを不快にさせ、やんわり注意されるかもしれませんが、あとに何かが残るわけではありません。温泉での撮影は、それとはまったく別物です。浴場や脱衣所で裸の人をひそかに撮るのは犯罪です。2023年に施行された撮影罪(性的姿態撮影等処罰法)は、人の体をひそかに撮影する行為を対象としていて、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金が科されます。各都道府県の迷惑防止条例も、同じような行為を罰しています。施設がカメラそのものを一律に禁止しているのは、誰もその線に近づかないようにするためです。
法律は形だけのものではありません。盗撮は、都道府県ごとにばらばらだった決まりに代えて、全国共通の法律が作られたほど深刻な問題でした。施設が警察を呼ぶこともあります。
脱衣所に入った瞬間から、スマホはロッカーの中。「画面を伏せているから」と手に持つのでも、「念のため」とポケットに入れておくのでも、ちょっと何かを確認するために使うのでもなく、ロッカーの中です。
ルールで禁止されている場所
- 浴場 — 内湯、露天風呂、サウナ室。施設のルールでは、何を撮るのも禁止です。ほかの入浴客はもちろん、誰もいない浴場も、山の景色も例外ではありません。「誰も写っていなかった」と言っても、スタッフには通りません。
- 脱衣所 — 服を脱いでいる人がいる場所です。ほかの人がいるところでカメラを出せば、何を撮っているつもりでも盗撮にしか見えませんし、スタッフもそのように扱います。
- 露天風呂でもつい撮りたくなるけれど — 湯気の立ちのぼる夜明けの山の露天風呂は、たしかに写真に撮りたくなる景色です。それでもルールは同じです。ほかの入浴客がフレームのすぐ外にいるかもしれませんし、いつ入ってくるかもわかりません。屋外だからといって例外にはなりません。
知っておくと便利なこと
- 旅館の貸切風呂 — 旅館の中には、自分たちだけで予約して使える貸切風呂があります。貸切風呂でも撮影を禁止している旅館もあるので、写真を撮る前に宿のルールを確かめましょう。
- 撮るなら入る前に — 露天風呂のある施設の多くが景色のいい場所にあるのは、そのロケーションも温泉の楽しみのひとつだからです。外観の写真は、チェックインの前に時間をとって撮っておきましょう。参道のようなアプローチ、入口の門、景色の中にたたずむ建物などは、たいてい問題なく撮れますし、写真を撮るならこのタイミングです。
- ビデオ通話も同じ扱い — 浴場でビデオ通話をするのは、たとえ音声だけでカメラを隠しているつもりでも、スマホ持ち込み禁止のルールに反することに変わりはありません。浴場にスマホがあること自体が問題なのです。浴場にスマホを持ち込む正当な理由はないので、ロッカーにしまっておきましょう。
- ほかの人が撮影していたら — 浴場でほかの入浴客がカメラやスマホを出しているのを見かけたら、施設のスタッフに伝えましょう。スタッフはこうした問題を重く受け止めます。自分で直接注意しに行く必要はありません。
クイズで確認
温泉での撮影ルールが身についたか、3問で確かめてみましょう。20秒ほどで終わります。