お通しの文化:頼んでいない小鉢が会計に載る理由

お通しは、居酒屋で席に着くとすぐに出てくる小さな一品です。そして、一人あたり数百円がいつの間にか会計に加わります。ぼったくりではありませんが、上手な付き合い方と、損をする付き合い方があります。

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お通し代を外してほしいと店員ともめる

レジでお通しの項目が載ったレシートを指さして憤慨する旅行者と、説明しようとする店員
NG

会計時に「頼んでいないので外してください」と言う

お通しは関東での呼び方で、関西では突き出しと呼ばれます。いわば、料理の形をとった席料です。何も注文しないうちに出てきて、一人あたりの料金(数百円ほどのことが多い)が、食べても食べなくてもたいてい会計に入ります。単品で頼んだ料理ではなく席料のようなものなので、会計のときに抗議しても、特に食べたあとでは、まず外してもらえません。お通しを直接認める法律があるわけではなく、店との合意の一部として成り立っています。それがいちばんはっきりするのは、店が事前に知らせているとき(メニュー、店頭、案内時のいずれか)です。小さな文字で知らせている店は多いものの、すべての店がそうとは限りません。決め手は事前に知らせているかどうかで、日本の法律の解説では、まったく知らされていなかった請求なら争える余地があるとされています。旅行者にはだまされたように感じられることもありますが、そうではありません。ヨーロッパのレストランの「コペルト」(席料)と同じようなものです。

居酒屋の入口で、席に着く前にお通しの有無を落ち着いて店員に尋ねる客
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どうしてもお通しが要らないなら、座る前に伝える

出てくる前に頼めば、お通しなしにしてくれる居酒屋もあります。店によって違います。席に案内される前に「お通しはいいです」と言うか、「お通しはありますか?」と聞いてみましょう。目の前に出てきてからでは遅いのです。鳥貴族など、もともとお通しを出さないチェーンもあります。予算を抑えたいときに便利です。お通しのある店で断れないなら、受け入れるか、店を出るかのどちらかです。受け入れたなら、出てきたものは食べましょう。手をつけなくても、たいてい料金はなくなりません。🥢

おしぼりや水と同じで無料だと思い込む

片手に無料のおしぼりを持ったまま、お通しの小鉢を指さして戸惑っている客
NG

お通しも、最初に出てくる無料のサービスの一つだと思う

日本の飲食店では、席に着くとすぐにいくつかのものが無料で出てきます。おしぼり、お冷やお茶、昼の店なら小さな漬物がつくこともあります。居酒屋で出てくる小鉢も、そうした無料のもてなしの一つだと思ってしまいがちです。でも、そうではありません。おしぼりと水は本当に無料で、おかわりもできます。最初に出てくるもののうち、お金がかかるのはお通しだけで、しかも一人ずつかかります。二人で座れば小鉢が二つ出て、料金も二人分です。昼の定食には、ふつうお通しはつきません。お通しは、主に居酒屋で夜にお酒を飲むときのものです。

お通し代がはっきり書かれたメニューの小さな文字を読んでいる客
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最初に出てくるもので有料なのはお通しだけ、と覚える

無料なのは、おしぼり、お冷、お茶、昼のカウンターの店なら漬物。有料なのは居酒屋のお通しです(一人300〜500円ほどが多く、高めの店ではもっとかかることもあります)。メニューのどこかに金額を書いている店も多いです。「席料」「お通し代」「チャージ」といった言葉を探してみてください。座る前に確かめたいなら、「お通し」とひと言聞くだけで、店員さんはすぐに分かってくれます。

お通しにまったく手をつけずに残す

手つかずのお通しの小鉢がテーブルの端に押しやられ、客は他の料理を食べている
NG

抗議のつもりで、お通しをテーブルの端に押しやる

料金がかかると知ったとたん、意地でもお通しに手をつけない人がいます。食べなければ料金が消えるとでもいうようにです。でも、たいてい料金は消えません(ふつうは席に着いた時点でかかります)。結局、どうせ払う料金に食品ロスを上乗せしただけです。日本には「もったいない」(無駄にすることを惜しむ気持ち)という考え方があり、料理が手つかずのまま残されるのを嫌がる人は多いです。それに、いい居酒屋なら、その小鉢を作った人が厨房にいます。手つかずで残すのは、筋を通しているのではなく、失礼に見えることがあります。

その夜の一皿目としてお通しを箸で食べている客
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その夜の最初の一品として味わう

お通しは、お店がそれなりに手をかけて出していることが多いものです。旬の漬物、小さな煮物、何かをのせた豆腐など。いい居酒屋では、厨房の腕前をちょっと知れる一品になっていることもあります。ぜひ食べてみてください。口に合わなければ数口だけでもかまいませんし、残しても誰も気にしません。どうしても食べられない場合(アレルギー、生魚、冷たいものが苦手など)は、早めに伝えましょう。詳しくは次のカードで説明します。

食事の途中で、お通しが食べられないものだと気づく

食事の途中で、浮かない顔をしてお通しの小鉢を店員のほうへ押し戻す客
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お通しが出てきてから生魚や貝だと気づき、手を振って下げてもらう

お通しの中身を決めるのは厨房で、客が選ぶことはできません。そのため、生魚や貝、マヨネーズ、豚骨だしなど、ベジタリアンやアレルギーのある人が食べられないものが出てくることもあります。テーブルに置かれたあとで返そうとすると、店員さんを困らせてしまいます。料金はもう伝票に入っていて、料理もすでに盛り付けられているからです。お通しは前もって仕込んでおくことが多いので、出したあとで別のものに替えられないこともあります。

居酒屋で席に着いたその場で、お通しが出る前にアレルギーを店員に伝えている客
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アレルギーや食事の制限は、席に着いたときに伝える

席に着いたら、お通しが出てくる前に伝えてしまいましょう。「アレルギーがあります」と言って食材の名前(えび、かに、そばなど)を挙げるか、「ベジタリアンです」「ビーガンです」と伝えます。出てくる前に言えば、食べられるものに替えたり、お通しを出さずにおいたりしてくれる居酒屋もあります。対応できない店もあるので、早めに聞いておくことが大事です。席に着いたときに言えば簡単に解決できることも、出てきてから言うと気まずくなってしまいます。

お通しとは何なのか

居酒屋に入って席に着くと、ほどなく小鉢が出てきます。漬物が少し、何かをのせた豆腐がひとさじ、かぼちゃの煮物がふた切れ。誰も注文していないのに、です。少しすると、テーブルの全員の前に置かれていることに気づきます。そして会計のとき、一人あたり数百円の項目が載っています。たいていは お通し、関西なら 突き出し、あるいは単に 席料 や チャージ と書かれています。

これが、料理の形をした居酒屋の席料です。特に店が前もって知らせていれば広く受け入れられていて、いわば入場料です。払えば、その夜その席はあなたのものです。

料金と料理

料理と料金はセットですが、頭の中で分けて考えると分かりやすくなります。

  • 料金は、あなたを「水だけ飲みに来た人」ではなく「お金を払うお客さん」として扱うための線引きです。その夜、席を使い続けられる根拠の一部にもなっています(制限時間を設けている店もあり、2時間ほどのことが多いです)。
  • 料理は、いい居酒屋がちょっと腕前を見せるためのものです。メニューを開く前から、厨房自慢の旬の小さな一品が目の前に置かれます。

安い居酒屋は、お通しを単なる決まりごととして扱い、安くてすぐ出せるものを出します。こだわりのある居酒屋は、お通しを第一印象を決めるチャンスと考えています。その違いは、ひと口食べればすぐに分かります。

お通しが出てこない場合

お通し代をたいてい払わずに済むのは、次の3つの場合です。

  1. お通しなしをうたうチェーン居酒屋 — いちばん有名なのは鳥貴族です。串カツ田中はこれに当たらず、キャベツがふつうお通しとして有料です。予算を抑えたいなら、お通しなしのチェーンが手軽です。
  2. 居酒屋以外の飲食店 — ラーメン屋、そば屋、寿司カウンター、昼の定食屋、ファミリーレストランなどです。お通しは主に居酒屋の習慣で、日本の飲食店すべてにあるわけではありません。
  3. ホテルのレストランや一部の洋風のバー — たいていはお通しがありませんが、バーの中には、ほぼ同じ役割のテーブルチャージを取る店もあります。

旅の予算を抑えたくて、お通しを確実に避けたいなら、上のチェーン店を選ぶのがいちばん簡単です。

クイズで確認

日本の飲食店で、最初に出てくるもののうち何が無料で何が有料なのか、3問で確かめてみましょう。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 お通し代は不当な請求なので、抗議すれば会計から外してもらえる?

  2. Q2 居酒屋のおしぼりとお茶は無料?

  3. Q3 料金への抗議として、お通しに手をつけないのは賢いやり方?