日本の撮影スポットのマナー — 伏見稲荷と全国

伏見稲荷、嵐山の竹林、渋谷スクランブル交差点。日本の有名撮影スポットには、暗黙の順番があることが多いです。撮ったら譲る、無理な角度で粘らない。

更新日

人気スポットで三脚を立てて居座る

鳥居のトンネルの一番良い場所に三脚を据えて時間をかける観光客と、その後ろで順番を待つ来訪者の列
NG

伏見稲荷や竹林、渋谷スクランブル交差点で三脚を立て、10〜15分も撮り続けて人を待たせる

日本の人気撮影スポットには、決まりとして掲げられてはいなくても、順番待ちの流れがあることが多いです。日本人も外国人も、あなたが陣取っているまさにその構図で撮るために順番を待っているかもしれません。三脚を立てて、焦点距離も露出も構図も片っ端から試し、その間に後ろに人だかりができていく。これは配慮に欠ける行動と広く受け取られます。人気のお寺や名所の中には、三脚そのものを禁止しているところもあるので、その場所のルールを確かめましょう。

鳥居のトンネルで手早く二枚だけ撮り、次の人のためにその場所を空ける観光客
OK

2〜3分で撮って場所を空ける。スポットはなくなりません

撮影ポイントに立つ前に構図を決めておき、3〜5枚撮ったら場所を譲りましょう。脇によけて写りを確認し、撮り直したければもう一度並べばいいのです。混雑する時間帯の人気スポットで三脚を使うと、たいてい周りの迷惑になります。三脚が必要なら(使ってよい場所なら)、人の少ない早朝に来ましょう。

知らない人に「写らないで」と頼む

竹林で知らない人たちに両腕を振り、画面から出るように追い払おうとしている観光客
NG

観光地で、知らない人に身ぶりや声で画面から出てもらおうとする

竹林も金閣寺も渋谷スクランブル交差点も、みんなの場所です。ほかの人にも同じようにそこにいる権利があり、あなたの写真のために動かされる筋合いはありません。知らない人にどいてもらうよう頼むのは、たとえ丁寧に、日本語で頼んだとしても、日本の人気観光地では配慮がないと受け取られることが多いです。しかも効果がありません。人気スポットに人がいるのは当たり前で、10人にどいてもらっても、すぐに別の10人がやって来ます。

混み合う交差点を、動いている人混みごと画面に入れて写真の一部として撮っている観光客
OK

人が写るのを受け入れるか、自然に人が途切れるのを待つ

本当に混雑した場所では、写り込む人も写真の一部です。むしろそれを生かしましょう。100人が行き交う渋谷スクランブル交差点の写真は、どのみち撮れるはずのない不自然にがらんとした交差点よりも、ずっといい写真になります。伏見稲荷の一部の鳥居や、早朝の竹林の細い小道など、待てば人のいない写真が撮れる場所では、人を動かそうとせず、グループとグループの間に自然にできる切れ目を待ちましょう。

「映える」写真のために建造物に登る、寄りかかる、寝そべる

より高いアングルを狙って寺の石垣によじ登っている観光客
NG

珍しい構図を狙って、お寺の塀に登る、神社の参道に寝そべる、鳥居に寄りかかる

日本の有名撮影スポットは歴史ある文化財であって、撮影のための設備ではありません。お寺の石垣に登る、神社の参道の真ん中に寝そべる、写真のために鳥居に寄りかかる。こうした行為は、建物を傷めるおそれがあり、その場の雰囲気も損ないます。人気の場所では、見つかればスタッフに注意されることもあります。

指定された展望スペースから、何にも触れずに手を伸ばして金色の楼閣を構図に収めている観光客
OK

文化財でのベストショットは、場所を尊重してこそ。決められた撮影ポイントから撮る

金閣寺で「金閣を手のひらに載せる」遠近法の写真は、池の向こうのふつうの見学エリアから、手をちょうどいい角度に構えるだけで撮れます。何かに触れる必要も、変わった場所に入り込む必要もありません。もともと考えられている眺めを、そのまま生かしましょう。思い描いた「いい写真」が、入ってはいけない場所に入らないと撮れないものなら、その写真は撮る価値がありません。

お寺や神社の建物の近くでフラッシュを使う

薄暗い神社の境内でカメラのフラッシュをたく観光客と、その閃光にびくりとする別の参拝者
NG

お寺の建物や祭壇、庭園、神社の囲まれた境内でフラッシュをたく

日中の明るい屋外なら、フラッシュはたいてい使ってかまいませんが、多くの場合は必要がなく、周りの人の気を散らしてしまいます。お寺や神社の建物の近く、祭壇のそば、囲まれた中庭では、フラッシュが禁止されていたり、撮影そのものが禁止されていたりすることがよくあります。禁止されていない場所でも、静かに心を落ち着ける場所で突然光が走るのは、驚かせるうえに失礼に感じられることがあります。

寺の山門をくぐる前にカメラのフラッシュを切っている観光客
OK

境内に入る前にフラッシュをオフに。自然光で撮るか、その場の雰囲気を受け入れる

鳥居や山門をくぐる前に、カメラやスマホのフラッシュをオフにして、参拝が終わるまでそのままにしておきましょう。日本の寺社の美しい写真の多くは、その場の光で撮られています。杉木立のまだらな木漏れ日、夕暮れに灯籠がともる石畳、紅葉を輝かせる曇り空のやわらかい光。フラッシュはそのすべてを台無しにします。光が足りないなら、その写真はあきらめましょう。夕方の光がきれいな時間帯に出直せばいいのです。

日本の撮影スポットで、マナーが思った以上に大切な理由

日本でいちばん写真に撮られている場所は、撮影のために造られたわけではありません。伏見稲荷の鳥居は稲荷の神様への奉納物であって、撮影用のトンネルではありません。嵐山の竹林は守られている歴史的な景観で、写真の背景ではありません。金閣寺は今も続く禅宗のお寺です。世界的に有名な「映えスポット」になったからといって、その場所の本来の姿が変わるわけではなく、マナーもそれを反映しています。

撮影スポットで自然にできる順番待ちは、駅のホームの列が整然と保たれるのと同じ感覚から生まれています。人気の撮影ポイントに人が集まると、誰が仕切るでもなく順番ができることがよくあります。前に出て、撮って、場所を空ける。わざわざ口に出して言われることはなく、空気を読むことが求められているのです。

場所に立つ前に構図を決めておきましょう。3〜5枚撮ったら場所を空けます。撮り足りなければ、また並び直せばいいのです。

迷惑な観光客にならずに撮るには

  • 2〜3分ルール — 構図は前もって決めておき、場所に立ったら撮って、すぐに移動します。撮った写真の確認は、場所をふさいだままではなく、脇に寄ってからにしましょう。
  • 人が写り込むのは問題ない — 渋谷のスクランブル交差点を何百人もの人が渡っていく光景こそが、撮りたい写真のはずです。人をどかそうとするのは失礼ですし、そもそも無理な話です。
  • 三脚は早朝に使うもの — そもそも三脚を使ってよい場所なら、朝早くに使いましょう。混雑する時間帯は、人の多いスポットでは三脚は周りの迷惑になります。
  • 建造物に登ったり、寄りかかったり、寝そべったりしない — 歴史ある文化財です。鳥居に触れないと撮れない「ひねった」角度は、工夫ではなく傷みのもとです。
  • 寺社の境内ではフラッシュはオフ — 門をくぐる前に切っておきましょう。お寺のいい写真の多くは、どのみち自然光で撮られています。

知っておくと役立つこと

  • 嵐山の竹林は早朝がねらい目 — 平日の早朝は、ずっと空いていることが多いです。この時間帯は光も、日中ののっぺりした光よりやわらかく、撮影向きなことが多いです。
  • 渋谷スクランブル交差点は上から撮る — 交差点そのものはいつも混んでいて、写真には必ず人が写ります。渋谷スカイの展望台や、MAGNET by SHIBUYA109の屋上から見下ろせば、スクランブル交差点を見下ろす広い写真を、地上で場所取りをせずに撮れます。
  • 金閣寺の「手のひらに金閣」の写真 — 金閣を手のひらに載せているように見える遠近法の写真は、池の向こうの見学エリアから撮れます。腕を伸ばして手のひらを水平にし、建物の土台に合わせましょう。何回か試したら次の人に譲ります。
  • 有名スポットでのドローンは禁止 — 京都や東京の中心部の多くは、国の許可がなければドローンを飛ばせない空域です。伏見稲荷をはじめ、境内でのドローンを禁止している神社やお寺も多くあります。飛ばせないものと考えておきましょう。
  • 居座らずに並び直す — 1回目でうまく撮れなかったら、いったん脇に寄って、また順番に並び直しましょう。2回目に並ぶのはかまいませんが、10分も場所を占領するのはよくありません。

クイズで確認

撮影スポットのマナーをおさらいする3問です。20秒ほどで終わります。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 日本の人気観光地で、知らない人に写真に写らないようどいてもらうのはあり?

  2. Q2 神社やお寺の境内に入る前に、フラッシュはオフにしておくべき?

  3. Q3 とても人気の撮影スポットで、混雑する時間帯に三脚を立ててじっくり構図を決めてもいい?