電車のベビーカー、日本では本当にたたまなきゃダメ?

日本の電車にベビーカーで乗るとき、まず迷うのが「たたむべきか、たたまなくていいのか」です。公式の答えは意外かもしれません。ただ、車内の実際の空気には、また別の決まりごとがあります。冷たい目で見られずにベビーカーで乗る方法をまとめました。

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「たたまなきゃ」とあわてる

混雑したホームで子どもを抱えながら片手でベビーカーをたたもうと焦る親
NG

ベビーカーは毎回必ずたたむものだと思い込む(子どもを抱えての大騒ぎの始まり)

日本の電車に乗って車内が混んでいるのを見たとたん、子どもを抱え、マザーズバッグとICカードを持ったまま、片手でベビーカーをたたもうと必死になる。そんな旅行中の家族もいます。反対の失敗もあります。すし詰めの車内でも、幅の広いベビーカーを動かそうとも置き直そうともせず、「乗っていいはず」と言わんばかりに居座ってしまうパターンです。どちらも、本当のルールを知らないことから起きます。あわててたたもうとすれば危なっかしい状態になりますし、まったく譲らない態度は思いやりがないように見えます。日本で実際に求められているのは、そのどちらでもありません。

車両の青と白のベビーカーマークの横で、広げたベビーカーと落ち着いて立つ親
OK

公式のルールを知っておく。たたむ必要はない

2014年、国土交通省(MLIT)が設けた協議会で、JR、私鉄やバスの業界団体、子育て関係の団体などが、統一の「ベビーカーマーク」を決めました。このマークは、電車やバスのスペースなど、安全に使えばベビーカーをたたまずに使える場所を示しています。たたむ義務はありません。とはいえ、実際の空気も大切です。ラッシュ時のぎゅうぎゅう詰めの車内では、たたんだり、次の電車を待ったりする地元の親もいますし、少なくとも置き場所に気を配るのが思いやりです。広げたままで公式にはOKなので、肩の力を抜いて大丈夫です。あとは周りの様子を見て、人にはみ出さないようにしましょう。👶

車内でのベビーカーの置き場所

電車のドアの中央を塞ぐ放置ベビーカーと、その横を避けて乗ろうとする乗客たち
NG

ドアの前や通路に、ブレーキもかけずにベビーカーを置く

ドアの真ん中にベビーカーを置くと、駅に着くたびに乗り降りの流れをせき止めてしまいます。乗る人も降りる人も、その横をすり抜けなければなりません。日本では、ドア付近の流れを止めないことを多くの人がとても気にします。同じくらい困るのが、ブレーキをかけずに置いて、電車が揺れたり止まったりするたびにベビーカーが動いて人にぶつかること、そして通路をふさぐように横向きに置いて、車両中の人がタイヤをよけて歩かなければならなくなることです。無言の冷たい視線をすぐに浴びてしまいます。

車椅子・ベビーカー用スペースで壁と平行にブレーキを掛けたベビーカーに手を添える親
OK

車椅子スペースで、壁と平行に置き、ブレーキをかける

目指すのは車椅子スペースです。多くの電車に設けられた広く平らな場所で、車両の端の近くにあることが多く、車椅子とベビーカーのマークが付いていることもよくあります。ベビーカーは壁に沿って平行に置き(通路にはみ出さないように)、ブレーキをかけ、手を添えて、電車が揺れてもすぐ押さえられる向きに立ちましょう。ドアの前は完全に空けておきます。「壁と平行、ブレーキをかける」。これがすべてです。👶

ラッシュのピークに乗る

ラッシュの満員電車で押し合う通勤客に押し付けられる幅広ベビーカーと親
NG

朝8時や夕方6時の満員電車に、幅の広いベビーカーで無理やり乗り込む

東京や大阪のラッシュ(だいたい朝7〜9時と夕方17〜19時)の電車は、混雑することで有名です。そこにフルサイズのベビーカーで乗り込むのは、親にとってストレスなだけではありません。子どもは知らない大人たちの肘やカバンの高さに囲まれてつらい思いをしますし、ベビーカーを安全に押さえたりブレーキをかけたりすることもほぼできません。「乗る権利がある」のは確かですが、だからといって混雑が少しでも楽になるわけではありません。

抱っこ紐をして、たたんだベビーカーを持ち、駅のエレベーター案内をたどる親
OK

混む時間を避け、エレベーターを使い、抱っこ紐も考える

予定に少しでも余裕があるなら、朝7〜9時と夕方17〜19時を外して観光しましょう。午前の中ごろや昼間は、電車はたいていずっと空いています。ホームへの移動はエスカレーターではなくエレベーターで(多くの駅に、ベビーカーや車椅子向けのエレベーターへの案内表示があります)。どうしても混んだ電車に乗らなければならないときは、抱っこ紐で子どもを抱き、ベビーカーはたたんで持つほうが、落ち着いて乗れることが多いです。ベビーカーと格闘する時間が減れば、そのぶん観光を楽しめます。👶

エレベーター・エスカレーターと、優先スペースの譲り合い

動くエスカレーター上のベビーカーと、近くのエレベーターで待つ車椅子利用者の注意喚起シーン
NG

ベビーカーのままエスカレーターに乗る、あるいはエレベーターに我先に乗り込む

ベビーカーごとエスカレーターに乗るのは、日本の駅でとれる行動の中でもかなり危険なものです。ベビーカーが倒れたり落ちたりして、子どもや周りの人がけがをするおそれがあるため、エスカレーターには「ベビーカー使用禁止」のマークが付いています。反対に、ほかに手段のない車椅子の人や高齢の人を差し置いて、混んだエレベーターに割り込むのもよくありません。どちらも同じことを見落としています。こうした場所はみんなで使うもので、より必要としている人から使うという順番がある、ということです。

エレベーターのそばでベビーカーと待ち、車椅子利用者を先に通す親
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エレベーターを使い、エスカレーターには乗らない。そして順番を待つ

ベビーカーを押しているときは、エレベーターを使い、エスカレーターには乗らないこと。エスカレーターは、公式にベビーカー使用禁止の場所とされています。ただし、エレベーターは車椅子の人や歩行を助ける器具を使う人、高齢の人たちと一緒に使うもので、その人たちにはほかの道がないことも多いです。押しのけたりせず、先に乗ってもらい、いっぱいなら次を待つのが思いやりです。優先席のまわりや車椅子スペースは、使うためにあります。ただ、周りに配慮して使うことが大切です。ここでは、待つことこそがマナーです。👶

結局、たたむの?たたまないの?

日本を訪れる家族の誰もが悩むのがこの問題です。ベビーカーで日本の電車に乗り込むと、車内は混んでいそう。とっさに「今すぐたたまなきゃ」と思ってしまいます。実は何年ものあいだ、その感覚にはある程度の根拠がありました。たたむのが当然だと思っている人が多く、広げたまま乗っている親が、場所を取ると文句を言われることもあったのです。

それが変わりました。2014年、国土交通省(MLIT)が設けた協議会で、JR、私鉄やバスの業界団体、子育て関係の団体などが、統一のベビーカーマークを決めたのです。このマークは、エレベーターや電車・バスのスペースなど、安全に使えばベビーカーをたたまずに使える場所を示しています。たたむ必要はありません。一方、エスカレーターには「ベビーカー使用禁止」のマークが付いています。

ルールと、実際の空気

公式の方針と、実際の車内の空気は、必ずしも同じではありません。そこを混同すると、観光客は周りの視線を集めてしまいます。

  • ルール: ベビーカーを広げたまま、子どもを乗せたままでOK。安全に使うことが条件です。
  • 空気: 本当にぎゅうぎゅう詰めのラッシュの車内では、たたんだり、もう少し空いた電車を待ったりする地元の親もいます。ルールではなく、周りへの気づかいと、子どもの安全のためです。

つまり正解は「いつもたたむ」でも「絶対にたたまない」でもありません。余裕があれば広げたまま、置き場所には気を配り、混んでいるときは状況を見て判断する。ベビーカーは壁に沿って平行に置き、ブレーキをかけて手を添え、車両の端の近くにあることが多い車椅子スペースを目指しましょう。

ホームまでの移動

ベビーカーのマナーの半分は、電車に乗る前から始まっています。使うのはエスカレーターではなくエレベーターです。エスカレーターには公式に「ベビーカー使用禁止」のマークが付いているので、ここは譲れません。多くの駅には、ベビーカーや車椅子向けのエレベーターへの案内表示があります。遠回りになっても、その案内に従いましょう。そして、エレベーターはみんなで使うものです。車椅子の人や高齢の人にはほかに手段がないことも多いので、先に乗ってもらうのが思いやりです。

旅程に融通がきくなら、朝7〜9時と夕方17〜19時のラッシュを避けるだけで、たいていの問題は起きる前に解決します。どうしても避けられない移動では、抱っこ紐で子どもを抱き、ベビーカーをたたんで持つほうが、落ち着いて乗れることが多いです。

クイズで確認

公式のルールと、周りに配慮した振る舞いの違いを、3問で確かめてみましょう。

Quick check

Can you spot the right move?

  1. Q1 日本では、電車でベビーカーをたたむことが法律で義務づけられている?

  2. Q2 しっかり押さえていれば、ベビーカーのままエスカレーターに乗ってもいい?

  3. Q3 混んだエレベーターでは、車椅子の人を自分のベビーカーより先に乗せるべき?